研究課題
スカベンジャー受容体のプロモーター制御下にサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27kipを発現するマクロファージ特異的増殖抑制マウスを作製し、GM-CSFやOxLDLをマクロファージ特異的増殖抑制マウスの腹腔マクロファージに投与し、腹腔マクロファージの増殖効果を評価した。Cell counting assayを使用し、GM-CSF及びOxLDL投与後のTg群の方が有意に増殖抑制されていることを確認した。また、このマウスの骨髄マクロファージにLPSを加え、それに対する炎症サイトカインの反応を観察したが、IL-6、MCP-1ともに有意差を認めず、増殖抑制で炎症サイトカインが変化するわけではないことが確認された。次に動脈硬化へのマクロファージ増殖の影響を評価するため、マクロファージ特異的増殖抑制マウスに動脈硬化モデルマウスであるApoE KOマウスを交配し、動脈硬化病変の発症・進展を検討した。マクロファージ増殖抑制により、16週齢及び20週齢、24週齢ApoE-/-マウスの大動脈弁輪部におけるプラーク面積が減少した。20週齢と24週齢ApoE-/-マウスにおける大動脈弁輪部プラークのネクローシス面積割合が減少した。マクロファージ増殖抑制により、プラーク内のマクロファージ減少をmRNA発現及び免疫染色にて認めた。マクロファージ増殖抑制により、プラーク内のコラーゲン含有量低下の抑制、及びFibrous Cap菲薄化の抑制傾向を認めた。大動脈弁輪部プラーク及び頚部~胸部大動脈における炎症性サイトカインのmRNA発現が減少した。以上の研究によりマクロファージの基本性質(単球数、遊走能、接着因子、炎症活性)は変えず、直接的にマクロファージ増殖能のみを抑制することで、動脈硬化へのマクロファージ増殖の病態生理学的な意義を評価できたと考える。
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Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
巻: 59(3) ページ: 207-214
10.3164/jcbn.16-23
https://kumamoto.pure.elsevier.com/ja/publications/acetate-alters-expression-of-genes-involved-in-beige-adipogenesis