糖尿病発症過程においてオートファジー(AP)不全が膵β細胞障害をもたらす事を報告しており、本研究では①生体内においてAPをモニタリングするマーカーの同定と②AP調節因子であるRubiconが膵β細胞機能に与える影響を明らかとするため研究を行った。 ①平成27年度にin vitroの検討においてAP不全細胞株の培養液よりProteasome α-subunit 6 (PMSA6)を同定した。そこで本年は再現性を確認するために薬剤によりAP抑制した膵β細胞株、膵β細胞特異的AP不全マウスから単離した膵島を用いて同様の検討を行った。また膵β細胞特異的AP不全マウスおよび糖尿病モデル動物の血清中PMSA6の定量を行った。再現性確認では培養液中にPMSA6は認められず、再現性を確認できなかった。また野生型マウスと比較して上記マウスの血清中PMSA6の上昇は認めなかったが、PSMA1-7全体の評価を行うと膵β細胞特異的AP不全マウスにおいてPMSAの上昇が認められた。in vivoで再現できず2次性の変化も考慮されたが、膵β細胞のAP不全を反映するような変化であればマーカーとして期待できると考えられた。またPSMA1-7の全体評価で上昇を認めたことから検出系の再考が必要と考えられた。以上より更なる検討が必要と考えられた。 ②平成27年度の検討において定常状態の培養細胞ではRubiconを抑制してもAPの促進は認められなかった。in vitroでの条件検討は困難と判断し、ex vivoにより検討することとした。それに先立ち、Rubiconノックアウトマウスの耐糖能の評価を行った。全身Rubiconノックアウトマウスの耐糖能は対象マウスと比較して耐糖能に差が認められなかった。in vitroの検討と同様に定常状態では差が得られにくいものと考え、AP不全を誘導した条件での検討が必要と考えられた。
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