研究課題/領域番号 |
15K19532
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
坂東 美佳 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (70737874)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グレリン / 長鎖脂肪酸 |
研究実績の概要 |
グレリンには3番目のセリン残基にオクタン酸修飾を受けている活性型グレリンと、受けていないデスアシルグレリンが存在するが、グレリン受容体と結合し、生理活性を示すのは活性型グレリンのみである。グレリンの活性化に必要なオクタン酸修飾は、グレリンアシル化酵素(GOAT)の働きによって仲介されることが報告されているが、アシル化の基質となるオクタン酸の由来については明らかになっていない。 本研究では、基質供給経路を明らかにし、グレリン活性調節の新たな薬剤標的となりうる因子の探索を目的に研究を実施している。 平成27年度は、グレリン産生細胞株であるMGN3-1細胞株と、膵β細胞株であるMIN6細胞株を比較することにより、基質供給源の解明と、基質供給に関与する遺伝子の同定を試みた。 グレリン産生細胞株では、グレリン遺伝子及びGOAT遺伝子が高発現であった。蛍光標識の各鎖長脂肪酸(BODIPY-C5/C11/C12/C16)を用い、脂肪酸取り込み能を検討したところ、長鎖脂肪酸の取り込み能が高いことが判明した。GeneChipにて脂肪酸輸送・β酸化・脂肪酸代謝に関する遺伝子発現量を比較検討したところ、脂肪酸輸送に関するAcsl1遺伝子が高発現であることと、β酸化に関するHADH遺伝子が低発現であることを見出した。Acsl1遺伝子をノックダウンすると、長鎖脂肪酸の取り込み減少し、活性型グレリン産生が低下することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、細胞株を用いた解析を行い、グレリンのアシル化基質の供給経路と、基質供給に関与する遺伝子の同定ができており、本年度は順調であったと考える。 なお、これらの成果は、国際学会誌に報告した。(Bando M, et al. FEBS Lett. 2016)
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の解析より、β酸化に関するHADHが低発現であることが判明したが、この遺伝子については解析ができていない。そのため、平成28年度はHADH遺伝子のグレリン産生への影響の検討、および、摂食や肥満状態等を模した、様々な培養条件下における遺伝子発現量変化の検討を行う予定である。 また、当初の計画にあった、同定遺伝子の過剰発現マウスモデル、並びにノックアウトマウスモデルの作製を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は研究が概ね順調に推移したため、各種試薬の購入に関する支出(物品費)が予定額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に生じた次年度使用額に関しては、当初予定していた平成28年度予算に加えて、物品費としての使用を予定している。平成28年度は、モデルマウスの作成及び解析の予定であったが、加えて細胞解析も引き続き継続する予定にしており、当初より物品費が増加することが見込まれる。
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