研究課題
本研究の目的は、次世代シークエンサーおよびアレイcomparative genomic hybridization(アレイCGH)を用いた思春期遅発症・思春期早発症患者の遺伝子解析により、性成熟疾患における既知遺伝子変異の寄与を明確とし、新規発症責任遺伝子を発見することである。本年度は、思春期遅発症81症例、思春期早発症9症例を対象として、既知原因遺伝子を含む約90遺伝子の次世代シークエンサーによる解析を行った。その結果、25症例(約30%)に疾患原因と考えられる異常を既知責任遺伝子に同定した。この変異陽性割合は、既報告の成果 ( Izumi Y et al. Fertil Steril.102:1130-1136.2014 )と同程度であった。更に、既知責任遺伝子の異常を否定された中枢性性腺機能低下症患者8家系15名においてエクソーム解析を行い新規責任遺伝子を探索した。また、アレイCGHによるゲノム欠失・重複の評価を行い、既知責任遺伝子に異常のない3症例で疾患原因と考えられるゲノムコピー数異常を同定した。本年度の研究成果として、以下の論文報告を行った。①卵巣機能不全を呈する女性2例でX染色体複雑構造異常を同定した。生殖細胞系列におけるゲノム再構成の発症に、クロモスリプシス及び同腕染色体が関与することを明らかにした。②思春期早発症患者においてその機能低下により中枢性思春期早発症を引き越すPROKR2遺伝子に世界初となる機能亢進型変異を同定した。ヒト内分泌疾患の原因となる新たなGPCR機能亢進メカニズムを解明した。これらの成果は、変異陽性患者の予後予測、遺伝カウンセリング、治療法の選択に有用であると考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Clinical Genetics
巻: 91 ページ: 653-660
10.1111/cge.12928.
Cytogenetic and Genome Research
巻: 151 ページ: 1-4
10.1159/000458469.
Journal of Cellular and Molecular Medicine
巻: - ページ: -
10.1111/jcmm.13146.
Sexual Development
巻: 10 ページ: 205-209
巻: 150 ページ: 86-92
10.1159/000455026.