本研究ではヘム合成の律速酵素の一つである赤芽球特異的アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)の変異による遺伝性鉄芽球性貧血(XLSA)の発症メカニズム解明を目的に、CRISPR/Cas9システムを用いてヒト非腫瘍性赤芽球前駆細のALAS2遺伝子に変異を導入し、モデル細胞の樹立を試みた。変異導入細胞では分化誘導に伴い、環状鉄芽球が観察されたことから、変異細胞は疾患モデル細胞として利用可能であると考えられた。本研究の主な成果は、鉄芽球性貧血モデル細胞の樹立に初めて成功したことであり、ALAS2変異を原因とした鉄芽球性貧血の発症機序と鉄蓄積機構の解明に寄与しうる。
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