今後の研究の推進方策 |
巨核球前駆細胞をセルソータで単一細胞に分離し,cDNAを作成した後にRT-PCRにて遺伝子発現を解析する.巨核球前駆細胞は,既に巨核球への分化が運命づけられた細胞であるとする仮説に基づけば,巨核球関連遺伝子であるcMpl,vWF,GPIbα,GATA1遺伝子が発現すると予想される一方,古典的な巨核球分化経路であるMEP細胞とは 異なり,赤芽球関連遺伝子であるCD71, EPO-R遺伝子は発現しないことが予想される.またこれらの遺伝子発現は,in situハイブリダイゼーションの手法を用いて,各細胞内の局在を観察する. また当グループにおけるマウスを用いた解析で,新たな巨核球分化経路にはNotchシグナルの関与が示唆されたため,これをヒトで証明する.造血回復期の患者から採取した骨髄生検検体を用い,巨核球前駆細胞に発現するマーカ(CD34,GPIbα)と,NotchリガンドであるJagged,Delta分子をそれぞれ蛍光抗体を用いて共染色し,共焦点顕微鏡を用いて観察する.巨核球前駆細胞とNotchリガンド陽性細胞が近接して存在することで,巨核球前駆細胞分化へのNotchシグナルの関与が間接的に示唆される.また巨核球前駆細胞を用いたRT-PCRにて,Notchシグナ ルの下流にあるHes遺伝子が発現していることを確認する.
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