Pcgf1欠損造血幹細胞は、自己複製能は保たれているものの、B細胞への分化能が減弱し骨髄球への分化能が増強していた。実際に、Pcgf1 CKOマウスでは骨髄球系前駆細胞が集積し、長期飼育すると約半数が骨髄増殖性疾患様の病態を示した。網羅的解析から、Pcgf1欠損造血幹前駆細胞では骨髄球分化におけるマスター制御因子であるCebpaのH2AK119ub1修飾レベル低下を伴う発現亢進が観察され、その標的遺伝子群の発現も上昇していることが明らかになった。これらの結果は、Pcgf1が骨髄球分化の抑制因子として機能することで造血幹前駆細胞の多分化能のバランスを制御していることを示している。
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