研究課題
白血病原因遺伝子であるBCR-ABL チロシンキナーゼの活性型変異体は主に細胞質に局在し、過剰なシグナル伝達を介して造血器腫瘍の発症を促進する。BCR-ABLを含むチロシンキナーゼは実際には核内にも移行することが知られているが、核内におけるチロシンリン酸化シグナル伝達の役割は明らかでない。本研究では新たにBCR-Ablをtamoxifen依存的に誘導し、造血器腫瘍を発症するモデルマウスの作製に成功した。この造血器腫瘍マウスとエピジェネティクスレギュレーターのKAP1のコンディショナルノックアウトマウスと交配した。これらのマウスを用いてKAP1のチロシンリン酸化のin vivoにおける正常造血および白血病発症での機能解析を行なった。正常造血においてはKAP1のノックアウトマウスの造血幹細胞(LSK-CD34-CD150+)細胞をセルソーターを用いて分取し、細胞にKAP1の野生型およびチロシンリン酸化変異体を発現させた後に致死量放射線照射したマウスに移植を行なった。チロシンリン酸化変異体で造血幹細胞機能の減少が見られた。造血器腫瘍モデルマウスとの実験ではBCR-ABLノックインマウスは1ヶ月程度で造血器腫瘍を発症し死に至るが、KAP1をノックアウトするとその生存が有意に伸びることがしされた。生き残ったネズミではBCR-ABLを発現しているにもかかわらず、細胞が通常通りの表現系を示していた。
すべて 2017
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J Biol Chem
巻: 292 ページ: 1648-1665
10.1074/jbc.M116.753202