研究課題
Suppressors of Cytokine Signalling (SOCS) proteinはサイトカインシグナルを負に制御するネガティブフィードバック調節因子として発見され、生体内において過剰なサイトカイン刺激に伴う炎症反応を抑える重要な役割を担っている。SOCSファミリーの中でもSOCS1とSOCS3は特に強い抗炎症作用を有しており、SOCS1はIFNγ やγc receptorを介したサイトカインシグナルを、SOCS3はIL-6、G-CSFなどのサイトカインを制御している。また、これまで個々のSOCSファミリー遺伝子について機能解析が行われてきたが、SOCSファミリーの遺伝子間における機能的な分担やその相互作用に関する知見は得られていない。このため新規にタモキシフェン投与によるSOCS3コンディショナルノックアウト(KO)マウスを樹立し、SOCS1KO、SOCS3KO、SOCS1/3KOマウスを作成した。これらのマウスをドナーとしてsyngeneic bone marrow transplantation (BMT)を行うことで自然炎症モデルを作成可能であることをこれまで見出しており、本モデルマウスを用いてin vivoでのhematologicalなSOCS1とSOCS3の遺伝子間相互作用を解析する。さらにallogeneic BMTを行うことで、炎症におけるこれらの相互作用がgraft-versus-host diseaseの進展過程においてどのように関与しているかについての検討を行う。
3: やや遅れている
遺伝子改変マウスの作成に関して凍結胚および凍結精子を海外研究機関より輸送搬入した。さらに受精卵(または胚)を偽妊娠処理した雌マウスの卵管内に移植することで新潟大学での樹立を開始した。これらマウスの繁殖に関してやや遅れが生じている。
遺伝子改変マウスとしてC57BL/6(Ly5.2)バックグラウンドの①Ifng+/+Socs1+/+Socs3fl/flCreERT2T/+、②Ifng-/-Socs1-/-Socs3fl/flCreERT2T/+、③Ifng-/-Socs1+/+Socs3fl/flCreERT2T/+の樹立を試みている。現在、①のマウスに関しては十分数のマウスが得られているが、②、③は十分数を得るためにはさらに数世代の交配が必要と考えられる。これらのマウスが得られ次第、実験規模を拡大する。これらのマウス実験手技や移植手技は海外研究機関にて経験済みであり、速やかに実験の遂行が可能であると考えられる。
2016年3月31日までに基金全額の執行がなされている。これら執行に対する支払いが一部2016年4月に行われる予定であるため、次年度への使用額が計上されている。
上述のとおり。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件)
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