研究課題
SOCSはCISおよびSOCS1-7の8種類のファミリー分子を持つ遺伝子である。これまで個々のファミリー分子のノックアウトマウスは作成されており、ここのファミリー分子の解析が進み、in vivoにおける個々の因子の役割も徐々に明らかになってきている(Delconte RB, Ushiki T, et al. Nature Immunology 2016) (Delconte RB, Ushiki T, et al. Immunity2016)。一方、SOCSファミリー同士の相互作用という点については明らかになっていなかった。特にSOCSファミリーの中でも特にSOCS1とSOCS3は多くの構造的、機能的類似性を持ち、強力な炎症抑制作用を有していることが知られているが、このようなファミリー分子がなぜ存在するかという意義はこれまで明らかにされていなかった。この問題に対して、我々は胎生致死であったSOCS1&3ダブルノックアウト(DKO)マウスをコンディショナルノックアウトを用いて新規に作成した。本マウスを用いてsyngeneic bone marrow transplantation(BMT)を行うことで、血球のみがSOCSノックアウト(KO)されているマウスを作成し、SOCS1/3DKO、SOCS1KOおよびSOCS3KO群の比較検討を行うことで、その差異について解析した。その結果、主に以下の2点が明らかになった(Ushiki et al. PLoS ONE, 2016)。①In vivoでSOCS1KO血球とSOCS3KO血球はindependentに炎症に作用する。②SOCS1KOはリンパ球分化に、SOCS3KOは顆粒球分化に影響を与える。SOCS1/3DKOではこれらの血球群が相互的に作用し、最終的に著明な好中球増多を引き起こし炎症を急激に重症化させる。
2: おおむね順調に進展している
本年度はsynegeneic BMTを用いて、in vivoで血球におけるSOCS1とSOCS3の相互作用を明らかとし、ここまでの経過について論文掲載されたため。
allogeneic BMTやメタボリックシンドロームなど慢性炎症が強く相関している病態においてSOCSの遺伝子間相互作用がどのように作用しているかを明らかにしていく。
次年度に遺伝子改変マウスのin vivoでの実験を予定している。次年度に多くの実験費用が必要であり、今年度の予算の一部を次年度に繰り越した。
フローサイトメトリー法や定量PCR法、ウエスタンブロット法などの抗体や試薬購入費用に使用する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 4件)
Rinsho Ketsueki
巻: 58(1) ページ: 32-36
10.11406/rinketsu.58.32.
PLoS One
巻: Sep 1;11(9) ページ: e0162111
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Nature Immunology
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American Journal of Hematology
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