研究課題
本研究は、1)ヒト臨床試験の推進およびその患者検体の免疫学的解析、2)WT1ワクチン療法評価用のマウス白血病モデルの作成および新たな免疫療法増強法の探索の2つの骨子からなる。前者に関しては、「急性骨髄性白血病の化学療法後寛解例に対するWT1ペプチド免疫療法の第Ⅱ相臨床試験」において24例の症例集積にいたり、現在21症例に関する中間解析結果を論文執筆中である。また、その中間解析における好成績を元に、より治療早期から介入する「寛解導入療法により血液学的寛解となった急性骨髄性白血病に対するWT1ペプチド免疫療法のPhase1試験」を新たにに申請し症例集積を開始した。また、患者検体のWT1特異的細胞障害性T細胞の評価により、効果予測因子や治療機序が明らかとなった。これによりWT1ペプチド免疫療法が今後白血病治療のどのような局面で使用されるべきかが示された。後者に関してはin vitroにて培養可能な1クローン由来の白血病細胞の作成に成功し、マウスWT1蛋白を強制発現させることにも成功した。2×10(6)数の白血病細胞の移植により4週後には発症させることが可能であった。また、健常マウスへのWT1ワクチン療法を実施した際のマウス末梢血中のWT1特異的細胞障害性T細胞数をFACSにて経時的に検出する手法を確立した。一方、ワクチン接種部位である皮膚の樹状細胞やT細胞も取り出す手法を確立し、FACSにてその表面形質の解析を開始した。今後、白血病マウスモデルにおけるWT1ワクチン療法を実施し免疫動態の解析を行うことができ、ヒト臨床試験でのWT1ワクチン療法の強化方法につながる新たなターゲット探索を行う準備が整った。
2: おおむね順調に進展している
マウスモデルの作成、新規ヒト臨床試験の承認と順調に進展しておりおおむね順調に進展していると考える。
「急性骨髄性白血病の化学療法後寛解例に対するWT1ペプチド免疫療法の第Ⅱ相臨床試験」における中間解析の学会発表、論文発表を目指す。また、新規臨床試験「寛解導入療法により血液学的寛解となった急性骨髄性白血病に対するWT1ペプチド免疫療法のPhase1試験」における症例集積を始める。マウスモデルでは、癌ワクチンの定期接種時の抗原特異的細胞障害性T細胞数の推移に興味深い結果を得ており、その機序解明を目指す。また、白血病モデル下でのWT1ワクチン療法と抗PD1抗体や抗CTLA4抗体との併用療法のin vivoでの併用効果を吟味する。
予定金額と1000円未満の差額のみに抑えれた。
予定通りの支出で実験ができており継続していく。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Immunotherapy
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Cancer Immunology, Immuonotherapy
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