研究課題
申請者らは「急性骨髄性白血病の化学療法後寛解例に対するWT1ペプチド免疫療法の第Ⅱ相臨床試験(UMIN:000015870)」の患者検体の解析を行い、論文報告を行った(Br J Haematology, in press)。本解析によりWT1ワクチン療法前のWT1特異的CTL頻度が臨床効果と相関することを見い出した。この結果は化学療法中に誘導された抗白血病免疫をWT1ワクチン療法が増強・維持することで相乗効果的に臨床効果を導いた可能性を示唆した。また、1患者においてWT1特異的CTLを1細胞ごとにsortingし、そのTCRのCDR3 regionをシークエンスレベルで解析しオリゴクロナリティの経時的変化を示した。本データは単一癌抗原由来のシークエンスレベルでのCDR3 regionのデータとして世界で初の報告である。ついで、本研究の主目的であった腫瘍免疫の評価系としてのマウス白血病モデルの作成を行った。MLL/AF9白血病遺伝子をマウス造血幹細胞に導入しマウス白血病細胞を作成した。この白血病細胞は血液内投与にて骨髄に生着し、CD45.1/CD45.2コンジェニックマウスを用いることにより、採血にて経時的に白血病細胞数を定量することが可能となった。我々はWT1ワクチンの効果を高めうる手法としてWT1-35ヘルパーペプチド配列を同定したため、本モデルマウスを用いてその機能評価を行った。WT1-35ヘルパーペプチドはHLA classII依存性にCD4を誘導し、WT1-CTLペプチドにより誘導されるWT1特異的CTL反応を増強・維持すること分かった。また、白血病治療モデルにおいて併用ペプチド療法により生存曲線における有意な治療効果を認めた。以上の結果を2018年のキーストンシンポジウム(Cancer Immunotherapy:C5)で学会報告し、現在論文作成中である。
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Br J Haematol
巻: - ページ: -
10.1111/bjh.14768