研究実績の概要 |
多発性骨髄腫に対する新規免疫療法として、正常細胞への影響が少なく強力な抗骨髄腫活性発揮するTh1様γδT細胞の臨床応用、また多発性骨髄腫に対する温熱療法の可能性について、下記のような実験結果を得た。1)末梢血単核球細胞に、γδT細胞受容体の新規合成リガンド(HMB-PP)や免疫調節薬(IMiDs)を併用することにより、効率的にγδT細胞が増幅し、またこれらの細胞は、細胞内IFN-γ濃度が上昇しており、Th1様であった。2)Th1様γδT細胞は、骨髄腫細胞に対して強い細胞障害をもたらし、薬剤耐性細胞を含むとされるSP(side population)のサイズを減少させ、またコロニーアッセイでは、骨髄腫細胞の自己複製能も抑制した。3)骨髄腫細胞株に熱処理を加え、経時的に回収したところ、温熱療法は骨髄腫細胞に対して、時間および温度依存的に細胞障害をもたらし、またSPのサイズを減少させ、コロニー形成も著明に抑制した。4)温熱療法は、骨髄腫細胞に対して、小胞体ストレスを誘導し、また骨髄腫の生存に重要な役割を果たしているIRF4, Pim-2などの発現を低下させた。5)温熱療法は、骨髄腫細胞表面の熱ショックタンパク(HSP)の発現を上昇させた。
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