研究課題
本研究では、これまでに申請者が同定しているJAK2V617F特異的に活性化される転写因子による骨髄増殖性腫瘍の発症メカニズムを明らかにすることで、JAK2V617Fを特異的に阻害する骨髄増殖性腫瘍の新たな治療戦略を開発することを目的とした。平成29年度は、前年度に引き続き、患者瀉血検体からCD34陽性細胞を抽出し、JAK2V617F変異の同定を行ない、またこれらの細胞を保存して、実験に用いた。また、JVRBP1を特異的に阻害する阻害薬を入手し、この阻害薬のin vitroでの効果の解析を行った。具体的には、JAK2V617F陽性の細胞株および、患者検体から抽出した細胞に、この阻害薬を投与し、まずは細胞増殖を評価するために、サイトカイン非依存性の赤芽球コロニーの形成の有無を観察した。さらに、JAK2V617Fの下流のシグナル伝達系の解析を行なうために、阻害薬パネルを用いて、それぞれのシグナルの解析を行うとともに、プロモーター解析を行った。本研究ではJVRBP1がJAK2V617F特異的に活性化されることは明らかになったものの、阻害薬のin vitro、in vivoでの効果の検討には、さらなる研究が必要と考えた。また、近年JAK2V617F変異を有さない骨髄増殖性腫瘍の患者の多くが、Calreticulin(CALR)変異を有することが明らかになった。CALR変異においても、JAK2V617F変異と同様にJAK-STAT経路を活性化することが明らかになっていることから、前年度からこのCALR変異の有無についても評価を行っており、JVRB1がCALR変異陽性の細胞で活性化されるかについても検討を行った。
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International journal of hematology
巻: - ページ: -
European journal of haematology
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