研究課題
抗原のT細胞エピトープ配列を一部置換した変異ペプチド(Altered Peptide Ligand; APL)は抗原特異的T細胞の免疫応答を抑制するとされている。このAPLを米穀に発現させることで、非侵襲的な経口投与による自己免疫疾患の抗原特異的治療を実現することが期待できる。本研究は、関節リウマチの病態形成への関与が報告されているグルコース-6-リン酸イソメラーゼ(GPI)のT細胞エピトープ配列を一部置換したAPLを米穀に発現させ(APL発現米)、これを経口投与することで関節炎を抗原特異的に制御する新規経口治療法の構築を目的とした。GPIのT細胞エピトープ配列を一部置換したAPL(AA:IWYINCFACETHAML)を作成し、GPI誘導関節炎マウスの関節炎誘導時に共免疫することで、関節炎の重症度が有意に抑制された。GPIのT細胞エピトープ配列のAPLをキヌアカ米に遺伝子導入することで、栽培した米穀でAPLの発現が確認された。APL発現米の経口予防投与でGPI誘導関節炎マウスの肉眼的かつ病理組織学的な関節炎の重症度が有意に抑制された。APL発現米の経口予防投与でGPI誘導関節炎マウスの脾臓・所属リンパ節におけるIL-17産生、血清中の抗GPI-IgG抗体産生が有意に抑制された。APL発現米の経口予防投与でGPI誘導関節炎マウスの脾臓におけるFoxp3陽性制御性T細胞のFoxp3発現・GITR発現が有意に上昇した。以上より、GPIのT細胞エピトープ配列を一部置換したAPL発現米の経口予防投与により、脾臓におけるFoxp3陽性制御性T細胞のFoxp3発現・GITR発現の上昇を介して、IL-17産生、血清抗GPI-IgG抗体産生を低下させ、GPI誘導関節炎を抑制する可能性が示唆された。
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Modern Rheumatology
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10.1080/14397595.2016.1218598