研究課題/領域番号 |
15K19575
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
劉 爽 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403812)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 薬理効果 / 免疫抑制剤 / 抗体製剤 / ヒト型関節リウマチモデル / 臨床研究 |
研究実績の概要 |
平成27年度では、研究者は専門医療機関と地域ネットワークを築き、関節滑膜組織、関節液、全血を含む検体採取を行った。収集症例数:全血 (20例:健常人10例、関節リウマチ(RA)患者8例)、関節滑膜組織、及び関節液:15例:RA患者5例、変形性関節炎患者10例)。 特異的な機能性抗体(抗ヒトCRACM1-IgG)を精製し、末梢血由来のT/B細胞活性化に与える影響を検討した。抗ヒトCRACM1-IgG を投与することにより、CRACを介するCa2+の流入が抑えられた。抗ヒトCRACM1-IgG は、T細胞から炎症性サイトカインの産生が抑制し、B細胞の分化や抗体産生にも減弱効果を示した。In vitro で抗ヒトCRACM1-IgG の抗炎症作用が確認できた。 In vitroの研究結果に基づき、RA患者末梢血由来細胞・血清、及び関節滑膜組織を免疫不全(SCID)マウスに移植し、ヒト型RAモデルを作成した。Alzetポンプを用いて抗ヒトCRACM1-IgGを持続皮下投与することにより、滑膜により軟骨・骨の吸収は抑えたことが確認できた。In vivo実験において、投薬方法や評価項目の確立ができた。 遺伝子組換え抗体製剤を作成するため、抗ヒトCRACM1-IgG産生ミエローマ細胞株の可変領域の遺伝子配列を解明した。この遺伝子情報に基づき、現在、将来的Diabody抗体製剤の合成を目指して、作製用フレームの構築を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画では、検体採取、CRAC阻害剤の準備、及びin vitroでCRAC阻害薬の抗炎症作用に関する検討など全3項目の内容を予定した。 検体採集について、健常人、及び変形性関節症患者における検体採集は概ね順調であるが、RA患者の採集症例数は予定より少なかった。研究対象の除外基準では、6ケ月以内に生物製剤使用した患者は除外すると設定したため、早期に生物学的製剤を導入して関節破壊を防ぐという治療指針が広く受け入れられている中、基準に満たす症例は少ないのが現状です。 CRAC阻害薬の準備について、遺伝子組換え製剤の技術開発を進めながら、抗ヒトCRACM1-IgGとウイルス製剤の精製について完了し、in vitro、及びin vivoにて薬理作用を検証している。 In vitroでCRAC阻害薬の抗炎症作用に関する検討の項目について、ヒト末梢血由来T/B細胞におけるCRAC阻害剤薬理作用の検討が一部完了したが、臍帯血由来の破骨細胞とヒト線維芽細胞における薬理作用に関する検証実験はまだ完了していない。検体採取のタイミングを計り、当初の研究計画では平成27年度以降にあるin vivoで薬理作用の検証システムをは確立し、検討を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
1. RA患者における検体採集が予定より少なかったことについて、研究対象の除外基準を修正することにより改善していきたいと考える。生物製剤の使用を除外基準から外し、平成28年度中検体採取目標症例数(80例)の達成を図る。生物製剤の使用状況を把握し、データ解析する際、交絡因子として解析を行う。 2. 臍帯血由来の破骨細胞とヒト線維芽細胞におけるCRAC阻害剤薬理作用の検証を完了させる。 3. 引続きCRAC阻害薬を用いて、末梢血由来細胞・血清、及び関節滑膜組織を免疫不全(SCID)マウスに移植し、ヒト型RAモデルにおける薬理作用の検証を行う。 4. 遺伝子組換え製剤の技術開発について、Diabody合成用フレームの構築を完了させ、CHO細胞に導入し、スクリーニング段階を一部完了させるのが平成28年度の研究目標である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
RA患者の採集症例数は予定より少なかったため、検体処理に使用する消耗品に掛った費用は当初の計画より少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度において、RA患者の採集目標症例数を達成するため、採集除外基準を修正し、検体採集数を増やす予定である。次年度使用額は検体処理用消耗品の購入に充当する。
|