本研究では、関節の炎症と破壊に関わるリウマチ患者由来病因細胞(T細胞、B細胞ならびに破骨細胞など)の誘導分化と活性化において、CRAC阻害薬のin vitro での薬理学特性、およびヒト化RAモデルを用いて、in vivoでの薬理作用を明らかにし、その有効性を検証した。本研究に用いるCRAC阻害薬は低分子化合物(YM-58483)、核酸製剤(レンチウイルス誘導性shRNA剤)、および抗ヒトCRACM1-IgGとする。本研究の収集症例数:全血 (30例:健常人10例、RA患者20例)、関節滑膜組織、及び関節液:RA患者11例)。患者由来T細胞において、CRACチャネル機能阻害により、炎症性サイトカインの遊離が抑えられ、細胞増殖が抑えられることが確認した。患者由来B細胞の機能解析結果により、免疫グロブリン(IgG)の遊離やRFの産生は、CRACチャネル阻害により抑制されていることが明らかになった。In vivo研究において、RA患者末梢血由来細胞・血清、及び関節滑膜組織を免疫不全(SCID)マウスに移植し、ヒト化RAモデルを作成した。抗ヒトCRACM1-IgGとYM-58483を持続皮下投与することにより、血中ヒト由来免疫グロブリンの産生や滑膜により軟骨・骨の吸収は抑えたことが確認できた。
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