研究課題
本研究は九州地区多施設共同超音波前向きコホート研究データを基礎研究に連動させ、RA の分子標的治療薬に対するトランスレーショナル研究 である。X 線関節破壊進展ゼロをアウトカムに設定し、このアウトカム達成に向けての TNF 阻害薬、IL-6 阻害 薬、T 細胞選択的共刺激調整薬、JAK 阻害薬に共通及び特有の有効性発現機序を解明し、RA における分子標 的治療薬の適性使用の理論的根拠の確立を目指す。 以上を目的として、1.分子標的治療薬の有効性発現の経過を超音波で評価する。2.血液バイオマーカーの変動を評価する。3.超音波指標とバイオマーカーの関連解析で、分子標的治療薬の有効性を反映する Key molecules を抽出・考察する。4.In vitro のシグナル伝達解析で、臨床サンプルから抽出された Key molecules の意義を実証する。5.エビデンスに基づく分子標的治療薬選択のアルゴリズムを確立する。平成27年度は、1.超音波による分子標的治療薬の有効性の評価、2.血液バイオマーカーによる分子標的治療薬の有効性の評価、3.超音波指標と血液バイオマーカーの関連解析を行った。超音波コホート研究に現在、200症例をエントリーし、治療1年時点の臨床評価及び超音波評価を行った。また、自己抗体及びマルチサスペンションアレイを用いたバイオマーカーの測定を行った。以上の評価項目との関連解析を行い、分子標的治療における意義を検討した。
2: おおむね順調に進展している
予定していた症例数のエントリーと解析が順調に進んでいる。しかし、分子標的治療の薬剤別の解析を行うには統計学的に不十分であり、エントリー症例の観察期間の延長と解析を行うと同時に症例の集積を行っていく予定である。アウトカムである関節破壊進展ゼロの評価のための、X線データは随時集積中であり、今後解析予定である。
症例集積・観察期間延長とX線による関節破壊進行の評価を行う。臨床評価、超音波評価、バイオマーカー評価を随時行い、関連解析を行う。以上より分子標的治療薬の有効性を反映するKey moleculesを抽出する。上記結果をもとに以下の検討を行う。1.In vitroシグナル伝達解析を用いた Key molecules の意義の評価;超音波指標と血液バイオマーカーで推察された有効性発現機序の裏付けを In vitroシグナル伝達解析で実証する。2.超音波・バイオマーカー・シグナル伝達解析から分子標的治療薬の適応アルゴリズムの構築;目標達成に向けた治療のため、ベースラインと導入早期(3ヶ月後もしくは 6ヶ月後) の超音波と血液バイオマーカーの結果を用いた多変量解析から、1 年後の関節破壊進展ゼロを目標とした、分子標的治療薬選択のアルゴリズムを構築する。
ベースライン及び治療3ヶ月時点のバイオマーカー測定を行った。6ヶ月、1年時点のバイオマーカー測定が未だのため次年度使用額が生じた。
解析症例数を増やすとともに、ベースライン、3ヶ月、6ヶ月、1年時点のバイオマーカーを測定する。また、臨床研究の結果をもとに基礎研究への発展予定のため、細胞刺激用のサイトカインなどの試薬や細胞あるいは細胞培養液におけるバイオマーカー測定用の試薬を使用する。
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