研究課題
本研究は九州地区多施設共同超音波前向きコホート研究を基礎研究に連動させた関節リウマチ(RA)の分子標的治療薬に対するトランスレーショナル研究である。X 線関節破壊進展ゼロの達成に向けて、 分子標的治療薬(TNF 阻害薬、IL-6 阻害薬、T 細胞選択的共刺激調整薬;アバタセプト、JAK 阻害薬)に共通及び特有の有効性発現機序を解明し、分子標的治療薬の適性使用の理論的根拠の確立を目指す。現在まで本研究に295症例がエントリーされた。1.有効性発現の超音波評価;治療6ヶ月の超音波寛解を予測する治療前の因子として、罹病期間が短い、分子標的治療約既往がない、パワードプラ(PD)活動性が抽出された(業績; Arthritis Care Res)。また、1剤目TNF阻害薬からの切り替えは、非TNF阻害薬が優位であった(米国リウマチ学会発表)。2.血液バイオマーカー変動の評価;マルチサスペンションアレイを用いて網羅的なバイオマーカーの測定を行った。一部のバイオマーカーでは、治療(TNF 阻害薬、IL-6 阻害薬、アバタセプト)により異なる変動を示した(日本リウマチ学会、日本臨床免疫学会発表)。3.超音波指標とバイオマーカーの関連解析による分子標的治療薬の有効性を反映する Key molecules の抽出;治療前の臨床情報(罹病期間・分子標的治療薬の既往)と血清バイオマーカー(IL-6など)を組み合わせることで治療6ヶ月後の超音波反応性良好できる可能性が示唆された(日本リウマチ学会、日本臨床免疫学会、日本内科学会発表)。また、アバタセプト治療の超音波治療反応性不良を予測する骨関連バイオマーカーとして、DKK-1高値が抽出された(米国リウマチ学会発表)。現在、X線評価中であり、関節破壊進展ゼロを予測する因子を抽出し、これまでの結果を統合して分子標的治療薬選択アルゴリズムの確立を目指す。
3: やや遅れている
予定症例数のエントリーは順調に進行した。分子標的治療薬の有効性を、超音波指標および血液バイオマーカーで評価し、超音波指標を用いた有効性に関するKey molecules と臨床情報を統合した治療反応性予測の可能性を見出した。最終アウトカムである関節破壊進展ゼロの評価のため、X線データ集積がほぼ完了し、現在解析中である。また、通常測定可能な自己抗体(IgG型抗CCP抗体、IgM型リウマトイド因子;RF)を縦断的に評価し、治療反応性との関連を評価しているが、今後、ライデン大学との共同研究により抗CCP抗体、抗カルバミル化蛋白抗体、RFのサブクラスを測定し、本研究の結果と統合する予定である。ライデン大学との契約及び検体測定の準備中である。
集積したX線データによる関節破壊進行の評価を行い、最終アウトカムである関節破壊進展ゼロに関連するKey moleculesの抽出を行い、臨床評価・超音波指標評価・血液バイオマーカー評価によるこれまでの結果と統合する。さらに、ライデン大学との共同研究によるRA関連自己抗体(抗CCP抗体、抗カルバミル化蛋白抗体、RF)のサブクラス解析を追加することで、研究の質が格段向上することが予想される。以上の多角的な解析により、1 年後の関節破壊進展ゼロを目標とした、質の高い分子標的治療薬選択のアルゴリズムを構築する。
理由;ライデン大学との共同研究によるRA関連自己抗体(抗CCP抗体、抗カルバミル化蛋白抗体、RF)のサブクラスの測定手続きに時間を要したため、次年度使用額が生じた。現在、ライデン大学との契約は完了し、測定準備が整ったため、検体送付・測定・解析を順次行なっていく。使用計画;ライデン大学との共同研究によるRA関連自己抗体(抗CCP抗体、抗カルバミル化蛋白抗体、RF)のサブクラスの測定に関わる検体送付および測定費用に用いる。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Arthritis Care & Research
巻: - ページ: -
10.1002/acr.23551
Arthritis Research & Therapy
巻: 19 ページ: ー
10.1186/s13075-017-1320-2
Modern Rheumatology
巻: 27 ページ: 605~608
10.1080/14397595.2016.1253813