これまで4群に分けられる牛乳を抗原とする乳幼児の食物タンパク質誘発性胃腸炎に加え、牛乳食物アレルギー群、非牛乳食物アレルギー群を集め、解析を行ってきた。各種抗原刺激後に1週間培養し、増殖した細胞画群について解析した結果、当初の予備検討に比して実際の病態は非常に複雑であることが判明した。有意差はついていないが、食物アレルギー群と食物タンパク質誘発性胃腸炎群の差について、傾向を認めはじめている。 各患者群から採取したPBMCをIL-2存在下で1週間培養した際、食物タンパク質誘発性胃腸炎群においてはCD4+CCR4+分画が顕著に増殖していることが観察される一方、食物タンパク質誘発性胃腸炎群では顕著な増殖を認めない患者数が多いことが判ってきた。これは、食物タンパク質誘発性胃腸炎群の反応が激しいために1週間という培養期間の後では、増殖した細胞分画が確認できなかった可能性もある。そこで、別途実施しているリンパ球増殖試験の結果と照合してみると、培養条件が本実験とは完全に一致しないものの、やはり食物タンパク質誘発性胃腸炎群ではIL-2による細胞増殖が顕著ではないことが多いことが確認できた。この違いが食物タンパク質誘発性胃腸炎病態の複雑性を反映している可能性も考えられる。 クラスター分類別の傾向はいまだまとめられていないが、ターゲットとしてきた細胞群の増殖は確認できている。患者各々が反応する抗原の種類による刺激の強さの差異の影響も考え、各種マーカーの組み合わせ解析をさらに重ね、最終報告までに結論を導き出せるようにしたい。
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