研究課題/領域番号 |
15K19592
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中山 仁志 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70514933)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 結核菌 / MAC / リポアラビノマンナン / 好中球 / ラクトシルセラミド / 貪食 |
研究実績の概要 |
結核菌やMycobacterium avium complex (MAC)などの抗酸菌は、好中球やマクロファージを含む自然免疫担当細胞へ貪食されると、食胞成熟を阻害することで細胞内寄生することが知られている。本研究では、結核菌やMAC特有に発現するマンノースキャップ型リポアラビノマンナン(ManLAM)と、好中球の細胞膜及び顆粒膜上に豊富に発現するラクトシルセラミド(LacCer)との関係に着目することで、結核菌やMACによる細胞内寄生機構を明らかにすることを目的とした。これまでの研究から、MACがLacCerと特異的に結合することが明らかとなっている。そのため本年度はまず、MAC由来、結核菌由来、あるいは非病原性抗酸菌として知られるM. smegmatis由来のLAMがLacCerと結合できるのかを検討した。その結果、いずれのLAMもLacCerと結合することが分かった。また、これらのLAMをポリスチレンビーズへコーティングし、ヒト好中球へ貪食させた。その結果、いずれのビーズも同程度好中球により貪食されることが分かった。この結果から、LacCerが抗酸菌間で共通のLAM構造を認識することが推定されたため、現在M. smegmatisの突然変異株由来のLAMを用いて、貪食実験ならびにスフィンゴ糖脂質との結合実験を行っているところである。今後はさらに研究を進め、貪食後形成されるファゴゾームではどのような現象が起こっているのかを、特にLacCerと細胞内シグナル伝達分子との関係を中心に明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト好中球による抗酸菌の貪食過程に、LacCerとLAMとの相互作用が強く関与しており、それらを結合実験及び生物学的実験により確かめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、LacCerが抗酸菌間で共通のLAM構造を認識することが推定された。そのため今後は、M. smegmatisの突然変異株由来のLAMを用いて、貪食実験ならびにスフィンゴ糖脂質との結合実験を行い、どのようなLAM構造がLacCerと会合するのかを明らかにしていく。また、さらに研究を進め、貪食後形成されるLAMコーティングポリスチレンビーズを含むファゴゾームではどのような現象が起こっているのかを、特にLacCerと細胞内シグナル伝達分子との関係を中心に明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までにsiRNAを用いる実験ができなかったため。また、そのために必要な抗体等を購入できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はsiRNAを用いる実験、またはそれに附随する実験を計画している。そのため、生じた差額分は本年度試薬の購入に当てる予定である。
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