Cadio-facio-cutaneous(CFC)症候群は心疾患、特異的顔貌、皮膚疾患、精神発達遅滞を呈する常染色体優性の先天性奇形症候群で遺伝性難病に指定されている。本研究ではCFC症候群の主要な原因遺伝子であるBRAFに変異をもつBraf Q241Rノックイン(Braf KI)マウスを用いてCFC症候群の心疾患・骨格形成異常発生メカニズムの解析を行った。 昨年度までの解析においてBraf KIマウス(ICR系統)は心筋細胞肥大を伴わない心肥大(心臓重量、心臓重量/体重比亢進)、肺動脈弁狭窄症、心房中隔欠損症、心筋ミトコドリア異常を示すこと。さらにアドレナリンβ受容体刺激薬であるイソプロテレノール(ISO)の1週間腹腔内投与(毎日)によって死亡率亢進、心肥大、線維化が顕著に認められることがわかっていた。しかしISOの半減期は短いこと、または腹腔内投与による大量投与は腎不全をきたし心疾患とは異なる原因で死亡している可能性が考えられた。そこで本年度はアルゼット浸透圧ポンプを用いて持続的にISO投与し解析を行った。その結果、ISO投与による個体死亡はなく、コントロールマウスまた腹腔内投与したコントロールマウス、Braf KIマウスと比べて、心肥大、特に線維化病変の亢進が認められた。実際に心機能・心不全に関わるマーカーであるANP、BNPのmRNA発現亢進。線維化・筋線維芽細胞マーカーであるコラーゲン1型、a-SMAの発現増加が認められた。これらのことからBraf KIマウス心臓はβ刺激に対して強い感受性を持ち、線維化が主要な病態であると考えられた。
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