研究課題
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型は胆汁酸トランスポーターの異常により重篤な胆汁うっ滞性肝障害を呈し、治療には肝移植を要する。前年度までに進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型患者から作製したiPS細胞とそれから分化誘導肝細胞の解析を進めた。本年度は進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型患者由来iPS細胞を新規に1株作製したほか、同症に対して薬効が期待されているフェニル酪酸の作用について分化誘導肝細胞を用いて評価した。また、分化誘導した肝細胞で胆汁酸トランスポーター遺伝子のスプライシング異常を示すことを検討した。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型患者由来分化誘導肝細胞にフェニル酪酸を作用させると、これまでに報告されていた胆汁酸トランスポーターの発現や胆汁排泄能の改善を示し、同細胞を用いた薬効評価の可能性が示唆された。市販されている既存薬スクリーニングパネルを用いた解析を進めている。また、胆汁酸トランスポーター遺伝子で非コード領域の変異箇所をもつ分化誘導肝細胞を用いてスプライシング異常の有無を解析した。これにより、2番目のエクソンがスキップする5'非翻訳領域の変異を見出すことができた。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症2型の病像を示す症例で胆汁酸トランスポーター遺伝子のコード領域に変異を認めない症例が一定割合存在しているため、今後は同症の分子機構を知る上で新規疾患遺伝子の探索や分子機構を基にした治療薬探索の検討を要する。
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Scientific reports
巻: 7 ページ: 41806
10.1038/srep41806