研究実績の概要 |
吸入抗原感作によるアレルギー性喘息の発症や重症化の病態は十分には解明されていない。本研究は1. 吸入抗原刺激による小胞体ストレス応答の誘導機序、2. 吸入抗原による小胞体ストレス応答を介するオートファジー制御機構、3. オートファジー依存性に放出されるアラーミンの喘息重症化との関連を検討することで、吸入抗原による小胞体ストレス応答を介したオートファジー制御機構とその結果惹起されるアラーミンの産生メカニズムを解明し、喘息発症や重症化の予防や治療標的の同定を目的として行っている。29年度も28年度に引き続き、喘息の発症や重症化などの病態に関与する気道上皮細胞の反応にの一つに小胞体ストレス応答が関係し、吸入抗原の性状より異なる自然免疫応答が惹起されるという仮説の元、a.)ミスフォールドタンパクの合成抑制 (eLF2α のリン酸化をウエスタンブロ ット解析) b.)小胞体関連タンパク分解 (ERAD関連タンパクであるXBP1,DDIT3の発現をRT-PCRで評価)。を行った。 28年度 ダニ抗原であるD.Feriniae(以下D.F)はその後の検討で、ウエスタンブロット、PCRともに、XBP1, DDIT3, eLF2α, HIF1α 全てにおいて、有意な反応を認めなかった。また、Th2 サイトカイン存在下において小胞体ストレス応答が誘導されるのではないかと考え、IL-4, IL-13存在下においてDerF刺激を行い、同様の評価を行ってみたものの、有意な小胞体ス トレス応答は誘導されなかった。29年度は、喘息と強く相関することが報告されている真菌抗原であるアルテルナリアを用いて、XBP1, DDIT3, eLF2α, HIF1αを測定した。しかしダニ抗原同様にアルテルナリアも有意なストレス応答マーカーの上昇を認めなかった。
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