平成28年度、ePTFE製人工血管(径4mm)を用いて屈曲血管モデルを作成し、同血管モデルに4mmの冠動脈ステントを留置し、4mm curved balloonによる後拡張を行った。初回のステントがマウントされたstraight balloon catheterによるステント留置では、屈曲血管モデルは著しく変形を生じ、これまで狭窄を認めなかった側枝にまで狭窄を生じた。4mm curved balloonによる後拡張でstentは元来の屈曲形態に修正され狭窄も解除された。 平成29年度、前々年度(平成27年度)に施行していた血管モデル(径6mm)におけるステント留置実験(腎動脈ステント)を再検証し、ステントが留置された屈曲部では大弯側におけるステントの突出および小弯側でのステントの圧着不全が生じていることが判明した。 前年度までの研究結果をもとに、先天性心疾患の屈曲狭窄病変にcurved balloonを用いたステント留置を2件施行した。ステントがマウントされたstraight balloonによる初回ステント留置では、屈曲部の大弯側ではステントが突出しまた小弯側ではステントの圧着不全が生じ、完全な狭窄の解除に至らなかったが、curved balloonによる後拡張を行うことでこの二つの問題は解決し、狭窄も解除された。 以上より、屈曲した狭窄病変へのcurved balloonを使用したステント留置は、血管形態の変形予防、狭窄の解除のために有効な手段であると考えられる。
|