気管支喘息モデルマウスに対する新型インフルエンザ(A(H1N1)pdm09)感染のもたらす影響について解析を行った。 1、肺病理組織の検討:喘息モデルマウスを作成し、肺病理組織を観察すると、非感染時には喘息マウスと非喘息マウスの気道上皮の形態学的相違は明らかでない。一方、インフルエンザ感染により、気道粘膜および基底膜の肥厚と内腔狭窄を認めた。喘息マウスに対する感染所見は、季節性インフルエンザ(Puerto Rico株)では血管周囲細胞浸潤を認めるのみであったが、新型インフルエンザでは区域性に著明な細胞浸潤を認め、肺胞構造の消失を伴っていた。インフルエンザ感染時には喘息モデルマウスは気管支喘息発作を来すこと、非喘息マウスではA(H1N1)pdm09感染のみでは気管支喘息発作を来さないこと、特に喘息マウスに新型インフルエンザが感染した際には、著明な肺炎、無気肺を来すことが病理学的に示唆された。 2、ステロイド投与の効果の検討:喘息モデルマウスに対して新型インフルエンザを感染させると、非喘息マウスや季節性インフルエンザ感染と比して、気管支肺胞洗浄液中の炎症性サイトカインが著明に上昇した。一方、喘息マウスに対して新型インフルエンザ感染前にステロイドを腹腔内投与しておくと、炎症性サイトカインの上昇が抑制された。また、対照群に比して、ウイルス力価の増加を認めることはなく、感染症の増悪所見は認めなかった。 3、呼吸機能解析:予備的実験を行い、解析中である。
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