HPS群(n=67)および正常コントロール群(n=24)より末梢血単核球を分離し、そのA20発現を定量PCRで測定した。HSP群は1.35±1.75、コントロール群は0.08±1.09と二群間に有意差(p=0.0013)を認めた。次にHSPの腎炎非合併例(n=51)と腎炎合併例(n=16)、正常コントロール群でのA20発現を比較した。腎炎非合併例は1.47±1.75、腎炎合併例は0.97±1.77であった。腎炎非合併例と正常コントロールの間に有意差(p=0.0007)を認めたが、腎炎合併例と非合併例および正常コントロールとの間に有意差は認めなかった(p=0.28、p=0.088)。HSP群を腹痛の有無で分け(腹痛なしn=25、腹痛なしn=42)、両群間および正常コントロールと比較したところ、腹痛なし群0.90±1.53、腹痛あり群2.11±1.87と両群間に有意差(p=0.0023)を認めた。紫斑病の主要症状(紫斑、腹痛、関節痛)に腎炎を加えた4つのうちいくつの症状を持っているかにより重症度を分け比較したところ、重症例ではA20発現が低下していた。 HSPでは正常コントロールと比べA20の発現が増加しており、腹痛および症状を多く持った症例ではA20発現が低下していた。A20は炎症の抑制系として知られており、今回の結果からHSPでも同様に発現低下が重症度に影響すると考えられた。しかし腎炎発症との関連は乏しいと考えられた。 次いで、ヒト腎糸球体血管内皮細胞を用いて自然免疫リガンド(Pam3CSK4、LTA-SA、PolyI:C、LipidA、LPS、FLA-ST、Imiquimod、ssRNA/LyoVec、ODN2216、C12-iE-DAP、MDP)で刺激を行った。PolyI:CとLPSのみでIL-6、IL-8が検出されたが、他の炎症性サイトカインは検出されなかった。
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