研究実績の概要 |
CINCA症候群、家族性地中海熱、PAPA症候群の患者よりiPS細胞を樹立し、機能評価を行った。幼児期早期から動脈硬化の傾向が認められるCINCA症候群患児のiPS細胞を用い、血管内皮細胞への分化誘導を行った。この児はCINCA症候群の責任遺伝子であるNLRP3遺伝子の変異(G307S)を体細胞モザイクで有しており、変異のある細胞(MT)と変異のない細胞(WT)のiPS細胞を用いて実験した。iPS細胞を単層培養にて、血管内皮細胞へと分化誘導する系を確立した。誘導した細胞は、今後の実験に十分な細胞数を確保でき、またtube formationやLDLの取り込みなどの血管内皮機能を有していた。得られた細胞を、炎症性サイトカイン、LPSやATPなどでNLRP3 inflammasomeを刺激し、MTとWTとを比較した。VCAM-1, ICAM-1, E-selectin, P-selectinなどの白血球接着因子の明らかな差は認められなかった。現在刺激方法の検討や、サイトカイン測定などのさらなる研究を行っている。
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