研究課題/領域番号 |
15K19644
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
植松 有里佳 (沼田) 東北大学, 大学病院, 特任助手 (70735779)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 髄鞘化障害 / 末梢神経 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
Charcot- Marie-Tooth 病(CMT)は、オートファジーの誘導や小胞体ストレスを抑制することが、病態を改善し、髄鞘化を促進できることが、モデルマウスでは明らかにされているが、ヒトへの有効な治療法は未だ見つかっていない。これまでの研究からオートファジー誘導や小胞体ストレスを改善させる可能性のある食品由来の21 種類の化合物を見出した。そして、CMTにおいてこれらの化合物の有用性を検討するために、末梢神経の髄鞘化誘導を比較検討できるラットの末梢神経細胞を用いた髄鞘化培養モデルを作成した。電子顕微鏡による観察でも、軸索に髄鞘が巻きついて、末梢の有髄神経の形態学的な異常を再現していることが確認できた。さらにラットの坐骨神経の発生過程とも比較を行い、発生段階での形態学的な特徴も有していることが確認できた。 しかし、CMTによる病的な状態を再現するために、PMP22 遺伝子変異を導入して髄鞘化障害を呈するかの検討を行ったが、明らかな髄鞘化障害を示すことは現在までのところ難しく、電子顕微鏡による観察でも、髄鞘化は再現するのが困難な状況にある。 これまでの成果に関しては、第58回日本小児神経学会総会および14th International Child Neurology Congressにて発表した。また、第58回日本小児神経学会総会にて、平成28年度日本小児神経学会総会若手優秀ポスター賞、The Japanese society of Child Neurology,International Child Neurology Congress 2016 Travel Awardを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Charcot- Marie-Tooth 病による病的な状態を再現するために、PMP22 遺伝子変異を導入して髄鞘化障害を呈するかの検討を行ったが、明らかな髄鞘化障害を示すことは現在までのところ難しく、電子顕微鏡による観察でも、髄鞘化は再現できていない。
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今後の研究の推進方策 |
髄鞘化培養モデルに導入を試みているPMP22遺伝子のプロモーター変更や国内の他の研究室で飼育中のCMTモデルマウスから髄鞘化培養モデルを作成し、Charcot- Marie-Tooth 病の培養モデル作成、および治療薬剤選定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までに、末梢神経の髄鞘化培養モデルは、in vivoとの比較においても末梢神経の発達段階での髄鞘化のモデルとして成立することを確認したが、髄鞘化障害を起こすCharcot-Marie-Tooth病の原因遺伝子を導入しても髄鞘化障害が確認できていない。 病的な状態を再現するために、異なる変異の導入などを試みたいと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
Charcot-Marie-Tooth病の原因遺伝子であるPMP22遺伝子の導入にあたって、現在使用しているプロモーターを変更すること、さらに他の原因遺伝子である、MPZ遺伝子の点変異を導入することを計画している。
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