研究実績の概要 |
Charcot- Marie-Tooth 病(CMT)は、オートファジーの誘導や小胞体ストレスを抑制することが、病態を改善し、髄鞘化を促進できることが、モデルマウスでは明らかにされているが、ヒトへの有効な治療法は未だ見つかっていない。これまでの研究からオートファジー誘導や小胞体ストレスを改善させる可能性のある食品由来の21種類の化合物を見出した。そして、CMTにおいてこれらの化合物の有用性を検討するために、末梢神経の髄鞘化誘導を比較検討できるラットの末梢神経細胞を用いた髄鞘化培養モデルを作成した。電子顕微鏡による観察では、軸索に髄鞘が巻きついて、末梢の有髄神経の形態学的な異常を再現していることが確認できた。さらにラットの坐骨神経の発生過程との比較を行った。ラットの坐骨神経の電子顕微鏡による観察では、生後0日では全く髄鞘化が生じておらず、生後2日には有髄神経がある程度観察された。そして、髄鞘化が進行するとともに、軸索の径が太くなっている様子が観察された。この髄鞘化の進行と、それとともに軸索径が大きくなる過程は、髄鞘化培養モデルでも同じように観察されており、この培養モデルが、発生段階での形態学的な特徴も有していることが確認できた。これまでの成果に関しては、第58回日本小児神経学会総会および14th International Child Neurology Congressにて発表した。また 、第58回日本小児神経学会総会にて、平成28年度日本小児神経学会総会若手優秀ポスター賞、The Japanese society of Child Neurology, International Child Neurology Congress 2016 Travel Awardを受賞した。
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