研究実績の概要 |
核黄疸の主要因は非抱合型ビリルビン(iDB)に特異的なアルブミン非結合型ビリルビン(UB)の神経毒性である。現在、臨床現場で使用されているUBアナライザー(GOD-POD法)は吸光度から総ビリルビン値を測定することに基づいているため、高抱合型ビリルビン(DB)血症の際に正確な測定が不可能であった。一方、我々は蛍光タンパク質であるUnaGに注目し、蛍光強度からiDBを直接測定する方法を確立した(Sci Rep. 2016)。さらに、GOD-POD法にUnaGによる蛍光測定を組み合わせた新たなUB測定法(GOD-POD-UnaG法)を開発した(特願PCT/JP2016/060327)。 本年度は新生児血清を用いてGOD-POD-UnaG法の有用性を検証した。倫理委員会の承認と家族の同意のもと、残余血清検体を用いた。GOD-POD法とGOD-POD-UnaG法によりUB値を求め、それぞれiDB/アルブミン(iDB/A)比との相関性について比較検討した。 低DB検体(DB 1.0mg/dL未満、iDB/A比0.6未満、n=40)では、GOD-POD法およびGOD-POD-UnaG法で求めたUB値とiDB/A比はいずれも良好な相関関係を示した(r=0.849, p<0.001 vs. r=0.874, p<0.001)。高DB検体(DB 1.0mg/dL以上、iDB/A比 0.6未満、n=11)では、GOD-POD法によるUB値とiDB/A比の相関は不良であったが(r=0.375, p=0.255)、GOD-POD-UnaG法によるUB値とiDB/A比の相関は良好であった(r=0.894, p<0.001)。 結論として、GOD-POD-UnaG法では、従来のGOD-POD法と同様にUB測定が可能であるだけでなく、高DB血症に影響されることなくUBを測定できる。
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