研究課題/領域番号 |
15K19657
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和田 桃子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30741219)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | scaffold / 脱細胞化 |
研究実績の概要 |
本研究は,先天性気管無形成のような生命予後不良な先天性気道疾患に対して,生命予後改善のために,胎児組織工学を臨床応用し,再生医療による気管再生,移植技術を確立させることが目的である. 組織工学では従来,気管再生には生体吸収性ポリマーであるポリグリコール酸や温度応答性ジェルを足場としたバイオ人工気管が用いられてきたが,本研究では生体誘導のscaffoldを作成し,その素地の上で免疫応答のない分化誘導を目指す.生体誘導scaffoldとしてラット新生仔(甲)から気管を摘出し,脱細胞化した後に羊水中の間葉系幹細胞を精製し,羊膜から上皮系幹細胞を精製し,これらの細胞を脱細胞化気管内に散布して再生気管を作成し,これらを新生仔(乙)へ移植することで気管再生を行う研究である. 本年度の研究は主にin vitroにおける実験を主体とした検証実験とし,脱細胞化の手技を確立させることを目標とした. 研究工程としては,在胎21から23に出生したラット新生仔を出生直後に犠死せしめ,気管を摘出する.脱細胞化は,まず海面活性剤を有する処理液を用いて生体組織を処理し,生体組織に超高静水圧を印加することで細胞を破壊する.その後,破壊した細胞を除去するための洗浄液を用いて細胞を除去し.エタノール水溶液に当該細胞を接触させて再度洗浄する.この場合の当該細胞とは,間葉系幹細胞から分化誘導された軟骨細胞・繊維芽細胞と上皮系幹細胞から分化誘導された気管上皮細胞を示す. 本年度は,この工程の中でラット新生仔から気管を摘出し,脱細胞化しscaffoldを作成する技術の確立に務めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ラット新生仔(甲)から摘出した気管の脱細胞化の工程において,組織を浸すための緩衝液の選択及び,その後の超高静水圧での印加の圧と時間の調整に難渋している.
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今後の研究の推進方策 |
脱細胞化の手技を確立させ,安定してscaffoldを作成する. 羊水からの間葉系幹細胞と羊膜からの上皮系幹細胞採取を行い,分化誘導された細胞に細胞免疫染色及びフローサイトメトリーを用いて細胞表面マーカーを確認する. 軟骨細胞,線維芽細胞,上皮細胞を脱細胞化した気管内に混合して散布し,Regenerated Tracheaを作成する. 作成したRegenerated Tracheaを新生仔(乙)に移植し.生着状況について確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット新生仔(甲)から摘出した気管の脱細胞化の工程において、組織を浸すための緩衝液の選択及び、その後の超高静水圧での印加の圧と時間の調整に難渋しており、次年度に継続する必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
脱細胞化の手技を確立させ、安定してscaffoldを作成する。 羊水からの間葉系幹細胞と羊膜からの上皮系幹細胞採取を行い、分化誘導された細胞に細胞免疫染色及びフローサイトメトリーを用いて細胞表面マーカーを確認する。
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