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2015 年度 実施状況報告書

3D培養表皮モデルを用いたRIP1の機能解析 -‘角化’はネクロプトーシスか?-

研究課題

研究課題/領域番号 15K19669
研究機関旭川医科大学

研究代表者

齋藤 奈央  旭川医科大学, 医学部, その他 (90736670)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードRIP1
研究実績の概要

Receptor-interacting serine/threonine-protein kinase 1 (以下RIP1)は、TNF-α、TRAIL、TLRs刺激におけるアダプタープロテインとして細胞の生存と死の両者を制御し組織の恒常性を維持する分子として注目されているが、ヒト表皮細胞における機能は解明されていない。本研究ではヒト表皮角化細胞を用いた3D培養表皮モデルを用い表皮の恒常性維持におけるRIP1の機能の解明を目的としている。1、RIP1KD表皮細胞を用いた3D培養表皮モデルの作成:NHKにNucleofection(Lonza)を用いてsi-RNAを導入しRIP1の発現を15%まで抑制し、RIP1-KD-NHKとcontrol-NHKを用いてair-liquid interface methodで3D培養表皮を作成することに成功した。RIP1-KD-NHKを用いた培養表皮モデルは、コントロールと比較して角層が肥厚し、顆粒層の形成異常が認められた。2、刺激免疫応答における細胞死の検討:RIP1-KD-NHKとcontrol-NHKにTNF-α、TRAIL刺激を加え24h、48h後にMTT法で生細胞を確認したところ、いずれにおいても生細胞数に差がなく細胞死は認められなかった。3、皮膚疾患におけるRIP1発現低下の解析:正常皮膚、アトピー性皮膚炎、多形紅斑、尋常性乾癬、GVHDの病理組織でRIP1の免疫染色を施行した。正常皮膚、アトピー性皮膚炎、多形紅斑では表皮全層にRIP1の発現を認めたが、尋常性乾癬、GVHDではRIP1の発現が有意に低下していた。更に、RIP1-KD-NHKにTRAIL刺激を加えるとIL-1β、IL-6を初めとするサイトカインの発現が有意に亢進した。以上の結果から、ヒト表皮細胞においてRIP1は炎症性シグナルの調整を行っていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RIP1-KD-NHKを用いた3D培養表皮モデルの作成に成功した。当初、RIP1-KD-NHKではTFN-α、TRAIL刺激で細胞死が誘導されると予想していたが、MTT法では細胞死は認められなかった。そこで、更なる検討のためin vitroの実験を行った。すると、RIP1-KD-NHKにTRAIL刺激を加えると尋常性乾癬の病態に重要なサイトカインの発現が亢進し、阻害剤を用いた実験でNF-κBが活性化していることを確認した。また、乾癬病変部ではRIP1の発現が低下し、免疫染色でTRAIL陽性細胞が真皮に浸潤していることを確認した。これよりRIP1の発現低下が表皮における炎症シグナルの亢進に関与していることが示唆され、尋常性乾癬におけるTRAIL、RIP1シグナル経路を同定することで尋常性乾癬の新規治療法の開発が可能となる。

今後の研究の推進方策

培養細胞を用いた解析で、RIP1の発現を調節するメカニズムを検討したい。更に、イミキモド塗布による乾癬様皮膚炎モデルマウスを用いて尋常性乾癬におけるRIP1,TRAILの機能を解析し、尋常性乾癬の新規治療法の開発のため治療実験を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] A novel RIPK1 function in human epidermal inflammation and keratinization2015

    • 著者名/発表者名
      Nao Saito, Masaru Honma, Takashi Shibuya, Satomi Igawa, Mari Kishibe, Akemi Ishida-Yamamoto
    • 学会等名
      The 40th Annual eof Japanese Society for Investigative Dermatology
    • 発表場所
      Okayama, Japan
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-13

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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