毛髪分化のメカニズムは未知の部分が大きい。縮毛症は毛髪奇形の一つであり、毛髪の分化異常がその原因として考えられている。本研究では、縮毛症を呈するマウスから得たkaratin71 (Krt71) の新規変異について、変異が毛包の形態、機能に及ぼす影響を解析し、縮毛症の発症機序を明らかにする。また、毛包内毛根鞘に発現している様々な転写因子について、培養細胞を用いてKRT71遺伝子のプロモーター解析を行い、KRT71遺伝子の発現調節機構を明らかし、毛包内毛根鞘の分化におけるkeratin71の役割の解明することを目的とする。平成27年度は、Krt71遺伝子の上記変異 (c.1117_1123del7ins10 (p.L373_T375delinsSLLS)) について 、変異により生じる毛髪の形態変化を走査型電子顕微鏡で解析した。また、同マウスより皮膚を採取し、keratin71に対する抗体を用いた免疫組織化学染色法で毛包におけるkeratin71の発現パターンを詳細に解析した。平成28年度は、ヒトのKRT71遺伝子のプロモーター領域をpGL4.12ベクターにクローニングした。また、毛包内毛根鞘に発現している様々な転写因子をpCXN2ベクターにクローニングした。それらをHEK293T (human embryonic kidney) 細胞、HeLa (human cervical cell carcinoma) 細胞などの培養細胞に導入し、KRT71遺伝子のプロモーター活性を解析している。
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