研究課題/領域番号 |
15K19680
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三澤 恵 富山大学, 附属病院, 講師 (80401834)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | TCHHL1 / 表皮角化細胞 / 細胞増殖能 / 細胞死 |
研究実績の概要 |
1. siRNAによるTCHHL1蛋白質の抑制が表皮角化細胞(NHK)に及ぼす影響の検討 siRNA によりTCHHL1の発現を抑制させたNHKを用いてTCHHL1蛋白質が細胞の増殖に及ぼす影響を検討した。MTS assayではTCHHL1抑制NHK細胞で有意な増殖の抑制が観察された。同細胞ではKi-67の陽性率の有意な低下とTUNEL陽性細胞の有意な増加が見られた。TCHHL1抑制が細胞増殖に及ぼすメカニズムを検討するためMAPKなどのシグナル伝達系の変化を検討したところTCHHL1抑制NHK細胞ではERK1/2、JNK、Aktのリン酸化が抑制されていた。また、定量的RT-PCR解析ではアポトーシスを促進させるFOXO1、BCL2、Bimの発現の亢進が見られた。さらに詳細な検討を行うためマイクロアレイにより発現の変化する遺伝子を網羅的に検索し、現在結果の解析中である。 2. 皮膚組織構築におけるTCHHL1蛋白質の役割の検討 siRNAによりTCHL1蛋白質の発現を抑制させたNHKを3次元培養系に適用し皮膚の組織構築に及ぼすTCHHL1蛋白質の影響を病理組織学的に検討した。TCHHL1抑制NHK細胞ではコントロールと比較し細胞の重層化が乏しく角化も不十分であった。TCHHL1抑制NHK細胞で作成した皮膚では基底層のKi67陽性細胞数が有意に少なく、これが組織構築に影響したと思われた。さらに免疫組織染色法によりケラチン14、10やフィラグリンなどの発現を検討したところ、いずれの皮膚でもこれらの蛋白の発現は見られたが、その発現量はTCHHL1抑制NHK細胞で作成した皮膚で少ない傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定にほぼ沿って研究がすすめられている。
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今後の研究の推進方策 |
1.TCHHL1 蛋白質の発現抑制による遺伝子発現の変化の網羅的解析 TCHHL1 siRNAによりTCHHL1蛋白質を抑制あるいは欠失されNHKとcontrol siRNAを用いてマイクロアレイにより発現の変化する遺伝子をの網羅的に検索する。さらに発現の変化が見られた分子については定量的RT-PCR法でも発現量に差があるかを検証する。 2.TCHHL1蛋白質と相互作用を有する蛋白質の同定 マイクロアレイ法によりTCHHL1蛋白質との関連が示唆された蛋白質のリコンビナント蛋白質を作 製し、免疫沈降法によりTCHHL1蛋白質と直接結合しうるか検討する。さらにこれらの蛋白質が関 与するシグナル伝達系においてTCHHL1蛋白質がどのように関与しうるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年3月発注分の納入が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
既に使用しており、研究の進行に影響はない。
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