メラノーマは色素細胞由来の悪性腫瘍で最も予後の悪い腫瘍のひとつである.最近,抗体療法や分子標的薬など新しい治療が開発されているが,未だ十分とは言えず,より効果の高い治療の開発は必須である.我々は炎症性サイトカインであるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の機能に関する研究の過程で,MIFがメラノーマの増殖に関与することを見出した.一方,最近MIFと非常に類似した構造をとる蛋白質であるD-dopachrome tautomerase(D-DT)が同定されたが,その生物学的機能は解明されていない.そこで本研究ではメラノーマの増殖や遊走におけるD-DTの関与について検討した.D-DTはメラノーマ細胞において恒常的に発現しており,炎症性サイトカインやアポトーシス関連因子との関連性も確認された.従って,D-DTはメラノーマの増殖に関与している可能性が示唆された.
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