研究実績の概要 |
乾癬の病態に関与する因子としてadipokineがあるが、その中でadiponectinは乾癬患者血清で有意に低下し、TNF-α阻害薬投与後に正常化する。そこで、adiponectinあるいはTNF-αを種々の濃度(adiponectin: 50, 500, 2,500 ng/ml、 TNF-α:10, 50, 100 ng/ml)で表皮細胞の培養液中に添加した。一定時間後、細胞を回収し、表皮バリアに重要な役割をもつセラミドをmatrix-assisted laser desorption/ ionization time-of-flight mass spectrometry (MALDI-TOF-MS)を用いて解析した。さらに、長鎖脂肪酸のセラミド合成に重要な二つの酵素、elongase of long-chain fatty acid (ELOVL)とceramide synthase (CerS) に着目し、それらのアイソザイムであるELOVL 1-7, CerS 1-6やバリア機能に関与するcytochrome P450, family 4, subfamily F, polypeptide 22 (CYP4F22)の発現量の変化について、これらのmRNA発現量を検討した。その結果、adiponectin存在下の表皮細胞では総セラミドが増加した。PCRでは、ELOVL 1-7の中でELOVL1とELOVL5が, CerS1-6ではCerS2、CerS6とCerS 5が優位に分布した。adiponection添加によりELOVL1とELOVL4が増加しCerS3が増加した。この結果はadiponectinが角層バリア機能の維持に関与する可能性を示唆するものである。
|