研究実績の概要 |
現在、乾癬の角層バリア機能異常について検討している。Imiquimod塗布による乾癬モデルマウスを作成し、その塗布部皮膚について検討した。蛋白レベルでインターフェロン(IFN)-γの有意な増加はなかったが、長鎖脂肪酸のセラミド合成に重要な二つの酵素、elongase of long-chain fatty acid (ELOVL) 1-7とceramide synthase (CerS) 1-6のmRNAを検討したところ、ELOVL 1とCerS 3の有意な増加が認められた(投稿中)。 さらに乾癬の病態に大きく関与する因子としてadipokineがあるが、その中でadiponectinは乾癬患者血清で有意に低下し、TNF-α阻害薬投与後に正常化することが知られており、われわれの症例でも確認している。そこで、adiponectinおよびIFN-γを種々の濃度で表皮細胞の培養液中に添加した。一定時間後、細胞を回収し、ELOVL 1-7, CerS 1-6やバリア機能に関与するcytochrome P450, family 4, subfamily F, polypeptide 22 (CYP4F22)の発現量の変化について、これらのmRNA発現量を検討した。その結果、adiponectin存在下の表皮細胞ではELOVL 1-7の中でELOVL1とELOVL5が, CerS1-6ではCerS2、CerS6とCerS 5が優位に分布した。adiponection添加によりIFN-γ誘導性のELOVLおよびCerSに有意な変化はなかった。
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