研究課題
平成27年度は、光変換タンパク質発現マウス、KikGRマウスによって同定できる炎症皮膚に「来た」「留まった」制御性T細胞(Treg)を対象に、シングルセルreal-time PCR array (scqPCR)及びフローサイトメトリー (FCM)を行い、高機能サブセット及び通常サブセットを同定した。平成28年度は、①高機能サブセットの分化責任因子の同定、②高機能サブセットの炎症皮膚誘引法の確立、③多因子発現解析による炎症皮膚に「来た」「留まった」Tregの分離法の確立に取り組んだ。①scqPCRデータに対して上流因子解析を行った結果、Ets1が高機能サブセットの分化責任因子の候補に挙がった。Ets1の発現解析を行った結果、高機能サブセットでの高発現及び通常サブセットでの低発現を確認した。その後、Ets1発現制御による機能解析に着手したが、発現制御に必要な細胞活性化によってEts1の発現が消失すること、及び、胎生致死によって一定数のEts1ノックアウトマウスの入手が困難であったことより、機能解析を断念した。②平成27年度に発見したケモカインによる炎症皮膚への高機能サブセットの誘引効果は不安定であることが判明した。現在、効果の安定のために、投与条件の検討を行うと共に、ケモカイン投与の代替法として、通常サブセットに高発現する遊走関連因子の抑制剤を投与し、相対的に皮膚に存在する高機能サブセットを増幅する手法も検討している。③FCM及びKiKGRマウスを用いた解析によって、高機能サブセットは通常サブセットよりも、炎症皮膚に「留まりやすい」ことを明らかにした。そこで、高機能サブセットの中で互いに発現が相関する分子群をに対する多重染色を行い、FCM解析及び多因子解析を行った結果、KiKGRマウスのデータを用いずに、炎症皮膚に「来た」及び「留まった」Tregを分離することに成功した。
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細胞
巻: 49 ページ: 印刷中
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 35002
10.1038/srep35002