研究課題/領域番号 |
15K19688
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清原 英司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70423176)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 皮膚リンパ腫 / ガングリオシド / 菌状息肉症 / triptolide |
研究実績の概要 |
近年の糖鎖研究の進歩によってガングリオシドと悪性腫瘍との関連が注目されている。しかし、皮膚悪性リンパ腫における細胞膜上のガングリオシド並びにシアル酸転移酵素の発現を検討した報告は少ない。本研究は皮膚悪性腫瘍の細胞株と臨床検体を用いてGD3などのガングリオシド発現やシアル酸転移酵素(主にGD3 synthase)の発現量を解析し、ガングリオシドをターゲットとした新規治療の可能性を探索することを目的とした。 GD3は腫瘍増殖において重要な役割を果たしていることが知られている。リンパ腫細胞株を用いてFACSによるGD3発現量を確認すると、正常人末梢血と比較して発現量が高い傾向が示された。これはGD3が皮膚悪性リンパ腫において何らかの役割を果たしていることを示唆する。また、mRNAにおいてGD3 synthaseの発現量を調べるとFACSの結果と相関した結果が得られた。 GD3 synthaseの抑制効果が知られているTriptolideを細胞株に投与すると、明らかな死細胞の増加が認められた。 また、臨床患者検体を用いたガングリオシド解析のためにサンプル回収を継続し、患者検体中の腫瘍細胞におけるガングリオシド発現を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床検体からのリンパ球回収方法において、さらなる検討が必要になったため計画が遅れている。具体的には腫瘍細胞のみのガングリオシド発現量を検討するために、組織からのソーティングを試みている。これが確立されると、より精度の高い解析が可能になると考える。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体のスムーズな回収と検査のシステム作りを構築する。また、詳細なガングリオシド解析は外部専門家の協力の元で行っていく予定にしており、これによりGD3以外の治療ターゲットも検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
詳細なガングリオシド解析における費用が高額なため、より安価な解析方法を検討中であり、次年度に持ち越している。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度はマウスによる解析と抗体費用などの物品、消耗品に使用する。
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