研究課題
色素性乾皮症(Xeroderma pigmentosum: XP)は光線過敏症状と若年から日光曝露部に皮膚がんを認めることが特徴的な常染色体劣性遺伝性疾患でありDNA修復機構の異常によって起こる。XPはヌクレオチド除去修復の異常であるAからG群と、複製後修復機構の異常であるバリアント型の8群に分類される。有病率は2.2万人に1人程度と言われており、これまで我々の行った全国調査などで早期診断が皮膚がん発症予防につながる可能性が示されている。しかし、XPの遺伝子診断は保険適応になっているものの検査会社などでは行われておらず、確実で迅速な診断体制を整える必要があった。XPの診断には従来より紫外線照射後の不定期DNA合成能(Unscheduled DNA synthesis: UDS)を測定しており、UDSの低下があればXPを示唆する所見であった。UDSは検査手法として確立しており広く行われてきたが、ラジオアイソトープを使用することや手技に熟練を要すること、時間がかかることが問題であった。そこで我々は近年報告された、紫外線照射後にDNA損傷をモノクローナル抗体を用いた免疫染色を行い、その蛍光強度をフローサイトメトリーで測定する方法に着目し、従来のUDSとの比較検討を行った。結果、XPの様々な相補性群においてもUDSと強い相関を示し、UDSの代替手法になりえることを見出した。またバリアント型はDNA修復能は保たれているため、UDSでは診断ができなかった。この新たな手法ではS期特異的に修復が低下することが報告されており、我々はバリアント型の様々な遺伝子型においても共通した特徴であることを報告し、迅速な診断が可能であることを示した。
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