研究課題
肥厚性瘢痕・ケロイドでは病変部に細胞外マトリックスの過剰沈着が認められる。本研究ではエピジェネティクスの代表分子であるhistone deacetylase (HDAC)に着目した。以前にHDAC各種の遺伝子発現について正常線維芽細胞とケロイド細胞の遺伝子発現を詳細に検討したところ、HDAC2がケロイドで特異的に発現が増強していることを見出した。そこで今回は、HDAC2をより選択的に阻害するHDAC阻害剤を選択することとし、細胞外マトリックスや転写因子などに与える影響を検討した。評価の方法として、in vitroで正常線維芽細胞とケロイド細胞を培養し、HDAC2阻害剤を加え、mRNAの発現の差を検討した。その結果、HDAC2選択的阻害薬の1つであるMocetinostatは、COL1A2やVersicanなどの細胞外マトリックスの発現を抑制し、加えてTGF-βの発現を抑制しうることを見出した。また、MMP-1やMMP3などの発現が上昇していることを見出した。だが、IGF-1やHIF1αなどの転写因子に関しては有意な変動はえられなかった。これらのことからMocetinostatは様々な転写因子やマトリックスプロテアーゼを変化させることで、ケロイド細胞でのコラーゲン産生を抑制させることが示唆された。今後、症例数を増やすとともに、蛋白レベルで発現が抑制されうるかどうかを検討してゆく。また、他のHDAC2阻害剤についても今後検討を加え、比較検討を行う予定である。
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