昨年度はマウスの皮膚老化の研究に関してアンジオポエチン様因子2皮膚過剰発現マウスと同腹子の野生型マウスの比較を中心に行い、コラーゲンやp16INK4aの発現量を検討し、アンジオポエチン様因子2皮膚過剰発現マウスの皮膚老化が野生型と比較して亢進している可能性を見出した。さらに今年度はp16INK4a以外のSASP(senescence-associated secretory phenotype)であるIL-6、IL-8、MMP-3についても検討しアンジオポエチン様因子2皮膚過剰発現マウスは野生型マウスに比較して老化が亢進しているこをさらに確認した。 また、野生型マウスの皮膚において週齢を重ねるつれてアンジオポエチン様因子2が徐々に発現が亢進することはすでに明らかにしているが、週齢およびアンジオポエチン様因子2の発現亢進に比例するように前述のp16INK4aなどのSASPも徐々に発現が亢進することも確認した。 一方ヒト皮膚では若年者と老齢者について検討し、アンジオポエチン様因子2の発現が年齢とともに発現が亢進すること確認し、あわせてヒトでもマウスと同様のp16INK4aなどのSASPの発現を確認している。解析の過程ではあるが、十分ヒトの皮膚老化においてもアンジオポエチン様因子2が大きな役割を果たしている可能性を見出しつつある。 以上より、アンジオポエチン様因子2は皮膚老化およびSASPの発現に深く関連する可能性があると考えた。
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