研究課題/領域番号 |
15K19708
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
夏秋 洋平 久留米大学, 医学部, 講師 (40389309)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 円形脱毛症 / 局所免疫療法 / 免疫組織化学染色 / 皮膚樹状細胞 / iSALT |
研究実績の概要 |
①円形脱毛症患者の生体試料の渉猟については、当院脱毛外来を受診した円形脱毛症患者のうち、急性期の20例に対し皮膚生検を実施し、正常部皮膚、脱毛皮膚の生体試料を渉猟した。また、局所免疫療法施行中の患者6例に対し皮膚生検を実施した。 次に、②ヒトとマウスにおける局所免疫療法に対する T 細胞と皮膚樹状細胞の細胞動態についての検証については、①で渉猟した試料に対して、H&E 染色にて病理組織学的検討を行った結果、病理組織学的には、急性期円形脱毛症患者20例中13例に毛球部周囲への稠密なリンパ球主体の炎症細胞浸潤が見られた。一方、局所免疫療法実施部から皮膚生検を実施した6例では、急性期に見られた毛球部周囲の稠密なリンパ球浸潤は消退し、毛包漏斗部から峡部周囲と真皮浅層の血管周囲性に炎症細胞浸潤が見られた。 これに対し、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD20、CD11c、CD163、Bcl-6、CXCL13、CCL21、MECA79 の抗体を用いた免疫組織化学染色を行ったところ、毛包漏斗部から峡部周囲ならびに真皮浅層の血管周囲性に見られた細胞集簇は、T細胞、B細胞、真皮樹状細胞、M2タイプマクロファージ、胚中心B細胞から構成されており、さらにはMECA79陽性の高内皮細静脈が発達していたことから、局所免疫療法によりヒトの皮膚にiSALTが誘導されていることが明らかになった。急性期円形脱毛症患者に見られる毛球部周囲の炎症細胞浸潤はT細胞が主であり、局所免疫療法によって誘導された細胞集団はこれとは明らかに性格が異なっており、iSALTの形成が治療効果にどのように関与しているのか、更なる検討を行う予定である。 しかしながら実験動物が未導入のため、引き続き導入に向けた環境整備を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・局所免疫療法施行中の患者からの皮膚生検による生体試料渉猟が目標数に達していない。 ・実験動物の導入が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、円形脱毛症患者からの皮膚試料渉猟に努め、同時に局所免疫療法施行中の患者からの皮膚試料渉猟にも努める。実験動物の導入を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
局所免疫療法施行中の患者からの皮膚生検による生体試料渉猟が目標数に達していないため。また。実験動物の導入が遅延しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
各種免疫染色用抗体の購入、C57BL/6 マウスおよびC3H/HeJ マウスの購入ならびに飼育・管理費用、各種フローサイトメトリー解析用抗体の購入、Real time-PCR解析の際に使用する各種実験キットの購入を予定している。
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