研究課題/領域番号 |
15K19719
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
篠山 大明 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (90447764)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 注意欠如多動症 / バイオマーカー / 唾液 / メチルフェニデート |
研究実績の概要 |
注意欠如多動症(ADHD)の診断基準を満たす子ども(6歳~15歳)を対象に、各種心理検査、ADHD評価スケール(ADHD-RS)、注意機能検査(Integrated Visual and Auditory Continuous Performance Test; IVA-CPT)を実施し、一部の対象者に対してメチルフェニデートによる治療が行われ、効果判定が実施された。しかし、当初予定していたプロトコルである複数回の血液採取には抵抗が強い子どもが多く、研究目的である実用的なバイオマーカーの開発という主旨からは、より採取が容易である検査の必要性があると考えられた。さらに、現状では期間内に解析に十分な数の血液サンプルを集めることは困難であるとも判断し、プロトコルの変更を行った。採取が容易な唾液サンプルを用いて薬物治療反応性評価を可能とするバイオマーカー探索を行うこととし、新プロトコルを作成し唾液検査を実施できる検査体制を整えた。唾液中コルチゾール、サイトカインなど、発達障害との関連が言われている物質に加えて、ストレスの指標として用いられる唾液アミラーゼも測定することで、ストレスの軽減という視点でのメチルフェニデートの治療効果を評価するプロトコルを作成し、対象者のリクルートを開始する準備を整えている。また、薬物治療反応性評価を行うためには、薬物療法実施後のADHDの子どもと非ADHDであるコントロール群との比較も行えることが望ましい。唾液採取という非侵襲的なサンプル採取の手法に変更したことにより、コントロール群からのサンプル採取が容易になったため、ADHDがない子どももコントロール群としてリクルートする方針を立て、現在、コントロール群のリクルートについて倫理委員会にて審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、血液バイオマーカーの探索を予定していたが、子どもを対象とした、より実用的なマーカーの開発のため、唾液によるマーカーの開発を行う方針としたため、研究プロトコールの変更が行われた。そのため、当初の予定よりも進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ADHDがある子どもおよびコントロール群となるADHDがない子どもをリクルートし、両群においてメチルフェニデート未実施時の唾液検査を実施し、ADHD群についてはメチルフェニデート使用時の唾液検査も実施する。プロトコルに従って唾液検査を実施し、唾液中コルチゾール、サイトカイン、アミラーゼを測定する。仮説としては、ADHD群はコントロール群よりストレスの指標となる唾液バイオマーカーが高く検出され、ADHD群はメチルフェニデート服薬時の方が課題実施時にストレスが生じにくいと考えている。また、治療効果予測ができるような、IVA-CPTのプロフィールや唾液サイトカインのプロフィールを探索することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、1年目に一部のサンプルを受託解析に提出する予定であったが、プロトコルの変更に伴い、2年目にすべてのサンプルをまとめて解析する方針となった。解析に要する費用が経費の大部分を占めているため、現在の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて唾液サンプルのバイオマーカー候補物質の測定に用いる。
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