げっ歯類の顔面の長いヒゲの感覚に関わる視床中継核(VPM核)と視床網様核から単一細胞活動を細胞外記録法(傍細胞記録法)で記録した。一次体性感覚野(S1)を硝酸銀処理により破壊した個体において、S1から神経投射を受けるVPM核と網様核のニューロンの自発発火および感覚応答に約100 ms間隔(アルファ帯域)のバースト発火が顕著に観察された。健常個体では上記のような振動発火は覚醒状態の視床中継核で殆ど確認されなかった。新しく発見した視床における覚醒時の振動発火現象は、相互神経連絡のある皮質領域の破壊後に現れるものであり、覚醒安静時脳波(アルファ波)の発生機構を解明する上で、有力な突破口になりうる。
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