精神疾患の発症に重要な役割を果たしているストレスは、i ) 脳内の免疫システムにより感知されて脳内炎症を引き起こすこと、ii ) その中心となる分子はNLRP3と呼ばれる細胞内パターン認識受容体であることを突き止めた。ストレス誘発性脳内炎症に基づくうつ病様行動を、NLRP3の生体内抑制物質であるBeta-hydroxybutyrate(BHB)の末梢投与によって改善するか検証を行ったところ、慢性ストレスモデル動物において抗うつ効果を認めること、またストレスによって上昇する脳内のIL-1β濃度を抑制することを示した。今後は脳内炎症仮説に立脚した新規のうつ病治療薬の創出が期待される。
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