研究課題/領域番号 |
15K19732
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三宅 典恵 広島大学, 保健管理センター, 講師 (70548990)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 予防 / 大学生 |
研究実績の概要 |
摂食障害は若年女性を中心に増加している精神疾患である。大学メンタルヘルスの現場においても、拒食や過食などの食行動異常や体重へのこだわりなどを主訴とする学生の相談が増加している。摂食障害は慢性化する症例が多く,大学生活への適応が困難となるため、予防や早期の発見が重要な課題となっている。本研究においては、大学生の入学時の健康診断において、Body Mass Index(BMI)17.5未満の低体重の女子学生や摂食態度調査票(Eating Attitude Test-26:EAT-26)20点以上の高得点を認めた女子学生の3年後の経過について検討を行った。入学から3年後の健康診断では、受診した女子学生において、平均BMIは20.6±2.5であった。そのうち、BMI17.5未満の低体重の学生は6.6%であった。入学時に低体重を認めなかった女子学生においては、平均BMIは20.9±2.4(入学時の平均BMIは20.8±2.6)であったが、低体重の学生を認めた。入学時に低体重を認めた女子学生においては、3年後の定期健康診断を受診した学生は86.4%であり、平均BMIは17.5±1.0、低体重の学生も認めた。入学時に摂食障害のハイリスクとは評価されなかった学生や低体重を認めなかった学生の中にも、3年後に低体重であった学生を認めており、入学後に摂食障害を発症した学生が存在している可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摂食障害は思春期・青年期の女性に好発する精神疾患であり,やせをはじめとする身体症状のみならず,さまざまな精神症状を高率に認める。早期発見や予防は重要課題であり、問診票調査の結果の検討を行い、概ね順調に経過していると考えられた
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今後の研究の推進方策 |
摂食障害では低栄養が多彩な合併症や後遺症を引き起こすことが知られており、罹病期間や治療開始までの期間が予後に関連する。そのため、早期発見や発症予防に向けての取り組みとして、継続的な調査を行うことや、入学時にハイリスクと評価された学生に対しては、その後も面接を継続してフォローし、予防的な心理教育を行っていくためのプログラム作成が今後の課題である。また、学生に対してより積極的に健康診断の受診を促していくための対策も課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
摂食障害の予防や早期発見に向けて、摂食障害の講演会やセミナーなどの実施、予防的な心理教育を行っていくためのプログラム作成を計画していたが、これまでの予備調査での結果から内容の再検討を行ったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、摂食障害の予防や再検討に向けた、摂食障害の講演会やセミナー、予防的な心理教育を行っていくためのプログラム作成を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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