摂食障害では,抑うつや低い自己評価などがハイリスク因子として指摘されている。青年期女性においてはやせ願望が挫折感や自己評価の低さの解消に利用され,摂食障害の発症に至るケースは少なくない。大学生においても摂食障害予備群といわれる摂食障害の発症リスクが高い学生が増加しており,予防は重要な課題である。本研究では,摂食障害の予防や早期発見に向けて,大学生を対象に摂食態度や気分に関する質問紙調査を実施した。大学生の入学時から4年次までの個人情報のないデータを用いて,入学時と4年次の結果を検討した。学生全体において,4年次は入学時と比較して抑うつ傾向が高いことが明らかとなった。また,入学時と比較して,4年次に体重変化を認めた学生は少なくなかった。さらに,体重変化を認める学生への指導とともに,摂食態度や抑うつの重症度による検討なども行った。 また,摂食障害患者では対人関係において様々な認知の歪みを認めることが多い。本研究では,摂食障害の病態解明に向けて,神経性過食症(BN)患者を対象に対人関係ストレスに関連した刺激課題遂行時の脳活動を機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて測定し,気質傾向との関連についても検討することを目的として研究を行った。女性BN患者を対象に,MRI装置を用いて対人関係ストレスに関連した単語刺激の認知課題遂行中の脳活動を測定した。各被験者には,TCIにて気質特性の評価も行った.対人関係ストレスに関連した単語刺激呈示時には,中性の単語刺激呈示時と比較して,BN患者群では内側前頭前野と左前帯状回の活動が上昇していることを明らかにした。
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