研究課題
ジェネティックニューロパソロジー(死後脳における分子表現型を中間表現型として遺伝多型との関連を検討する研究手法)を以下のようにに展開した。①統合失調症及び健常対照死後脳各20例の凍結サンプルの前頭前皮質及び側坐核を用いて、Aktシグナル伝達系タンパク質群のタンパク発現量をBead-Based Multiplex Immunoassayにより多項目同時測定し、それぞれの遺伝子多型との関連を解析した(J Psychiatr Res.2016)。尚、遺伝子多型解析においては非精神疾患例と統合失調症及び双極性障害を除く精神神経疾患例計36例の死後脳を追加して解析した。②上記①に双極性障害死後脳6例を加え、同領域のサンプルついてELISA法を用いてDARPP-32及びCaNのタンパク質定量を行い、これらの脳内タンパク質発現表現型と全ゲノム遺伝子多型解析(イルミナ社のInfiniumアッセイ「HumanCoreExome」)により得られたドパミン関連分子の遺伝子多型55 SNPs(DARPP-32,CaN,DRD2,ANKK1など)との関連を解析した(in submission)。③上記の GWASアレイデータでCNVを解析したころ、統合失調症群で特にCNVの頻度が高い3例を見出され、うち1例はt(3;9)(q13.12;q21.2)の染色体転座を有しており、3例はいずれも長期入院を必要とし、より脳内タンパク発現が低下している傾向にあった。④DRD2における-141C ins/del 多型と統合失調症死後脳線条体におけるDARPP-32発現の関連研究を行った(in revision)。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通り、統合失調症をはじめとする精神疾患死後脳における分子表現型解析及び遺伝子多型との関連解析がほぼ終了しているため。
当初の研究計画通り、平成28年度までに実施した、解析結果の検討、論文作成及び投稿作業を進め、必要が生じれば適宜追加実験を行う。また国内外の学会及び研究会に成果を発表し、漸次英文学術誌に投稿する。
統合失調症をはじめとする精神疾患死後脳を用いた分子表現型解析及び遺伝子多型との関連解析のうち、一部終了することができなかったため。
できるだけ速やかに、上記未終了の解析を実行し、予算を執行する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
J Psychiatr Res.
巻: 82 ページ: 100-108
10.1016/j.jpsychires.2016.07.